hikoharu's blog

エンジニアリング、プロダクトについて考えていること。twitter: @hikoharu06

プロダクトマネジメントにおける事業理解について、NETFLIXの事例を考えてみた

最近0→1以降のフェーズでプロダクトマネジメントする上で最も重要なのは事業、ドメイン理解だと思っています。

PMというただでさえよくわからない業務の本質は、

事業の価値や戦略を理解した上で、全体最適を維持する。 その上で、何かしらの専門性(エンジニアリング、グロースハックなど)を発揮して事業のHOWであるプロダクトを作って事業を加速させること

だと思っています。 それをするには、結局「この事業の価値は何だっけ?」、「今ビジネス的に何が最重要なんだっけ?」という問いに常に答えれないといけない訳です。

NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く~

を読んで、そこら辺が書かれていて面白かったのでまとめます。

Googleとの企業文化の違い

イメージ的にNETFLIXと近い企業としてGoogleがあるなと思っていたのですが 読んでみると両者は根底の部分が違っていて

  • Googleの事業はとても多様。そして採用ではメンバーの創造性を何より重視する。アイデアを出してもらい、それを事業にできるから
  • NETFLIXは基本プロダクトが1つ。事業上必要なことが厳格に決まっていて、メンバーに高度な事業の理解と貢献を求める

どちらが優れているという話ではないのですが、NETFLIXは事業に対して必要な業務、人材の定義が徹底していると感じました

実際のエピソードとして、事業として検索に力を入れたいが、Facebook広告に固執する超優秀なエンジニアに対して、退職を推奨するという、、、 Googleとかであれば、配置転換などでやらせてもらえそうだなと

他にも象徴的なエピソードが

  • 人事考課は時間のムダ。なぜなら事業KPIのどれにも紐付かないから
  • 人事にも事業理解を求める。人事が事業理解をし、チームに必要な人材を採用する。事業が成功した時は「私があのチームを作った」と感動して号泣する

などが興味深かったです。

自由と責任と事業理解

本のタイトルにもなっている「自由と責任の文化」というのは、

  • 組織として透明性が担保された状況(全従業員が事業の現状と今後の戦略について理解している)
  • 事業理解をもとに自分のミッションの明確化(=責任)
  • ミッションを果たすために邪魔な制約は会社として全て取り払う(=自由)

ということなのかなと解釈しました。

自分の好きな技術を何でもやっていいということでは決してなく、やるべきことは事業戦略として厳格に決まっている。 そこがスタートラインにあった上で、徹底的に情報アクセスのハードルを下げて、自由と責任を持って事業戦略に基づいたミッションにコミットできるということなのかなと

ここらへんは自分のPMとしてのバックグラウンドのバイアスが思いっきりかかっているので、あくまで1つの解釈として読んでもらえれば

従業員のモチベーションは不要なのか

後半で従業員エンゲージメントに対しても真っ向否定していて、「まるで従業員のやる気不足が原因のような言い方だ。やる気のない従業員を解雇して好業績になるなら、とっくに他のところも成功している」これは「なるほど」と思うところがある一方、かなりのパワーワードだなと 笑

この背景としては、すでに上述していますがNETFLIXはプロダクトは1つ、さらに事業としてのビジョン、やることを明確にしている さらにアメリカのジョブディスクリプション文化(総合職とかではなく、明確に職務が規定されている)とも重なって、 完璧に事業戦略〜1人1人のミッションがつながっているからで、組織マネジメントの1つの完成形だと思いました。

つまりは採用のタイミングで完全にミッションが事業戦略からの逆算で決まる&人事、現場がそれを理解しているので求職者にブレなく伝えられている。 という前提になるので、モチベーションは関係ないと

日本だとそもそもジョブディスクリプションを厳格にできない、風土の問題も大きいし、そもそも厳格にしてしまうとポジションがクローズした時に解雇が発生するが それができないという事情があります。 事業理解など参考になる部分は多かった一方で、前提が違うので日本でそのままやるのは難しいなと感じました。

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