エンジニアたった1人だけだったスタートアップが、CTO of the yearにノミネートされるまでの軌跡
この記事は CTO Advent Calendar 2021の25日目 です。
はじめに
エンペイというtoB Saas * FintechのスタートアップでCTOをしているhikoharuです。
保育園、学童などを中心に「月末にお月謝袋に現金を入れて子供に持たせて、、、」というレガシーな集金業務をキャッシュレスで効率化に行うプロダクトを提供しています。
創業期の1人エンジニア時代から、四苦八苦しながらも1年で10名以上のエンジニアを採用でき、本格的に組織としてワークし始めたので、その軌跡を振り返っていこうかと思います。
CTOになるまでのキャリアは?
- Webエンジニア(4年)
- PjM、EM(2年)
- PdM(2年)
- CTO
みたいなキャリアを歩んできました。
エンジニア時代に自分が作ったものは実は使われていない、必死こいて開発したが実はその時期にやる必然性はそれほどなかったなどを経験し、その辺りの問題を解決したり、興味を持ってやりたいことをやっていたら、CTOになっていたみたいなキャリアです。
PdM期間はほぼコードは書いていませんが、Sales,BizDev,CS,Marketingなど色々なバックグランドの方と仕事する経験はとても今に活きているなと感じています。
光栄なことにCTO of the year2021にノミネートいただいたり、
※登壇資料 CTO of the year2021_PMF後の危機、会社をエンジニアリングする | ドクセル
このようなイベントに登壇する機会をいただけたりもしました。
今年のチームの変化は?
思えば今年の最初は外注から引き継いだコードを、正社員としてエンジニアは私1人、副業、業務委託で7人くらいで何とか開発しつつ、シリーズA以降の勝ち筋の解像度を上げ、それに求められる技術戦略を描いているという状態でした。
一部の狭域マーケットでPMFの手応えがあったというのが救いでしたが、今振り返ってもなかなか綱渡りをしていたな、、、と思います
またシリーズA以前はステルス戦略を取っていたということもあり、カジュアル面談をやれどもやれども、今ひとつ響かないという状況が続き、なかなか辛いものがありました。 シリーズAを迎えて、ファイナンス面での大きな変化があったとはいえ、どう見ても開発ヤバそうな状態で飛び込んでくれた初期のメンバーの皆様には頭が上がりません。
そこから1年で1→11人まで採用を進めることができました。経路はほぼ100%リファラルです。
自分が誰よりもリファラルに本気で向き合うというのはもちろんなのですが、メンバーが積極的に採用を自分事として動いてくれたのが大きかったと思っています。直接的な紹介だけでなく、アトラクト、選考と色々な部分で良い影響が出ています。 もちろん採用がいかに重要かのメッセージング、大切な知人を紹介しても良いと思えるような様々な土台作りはそれなりにやっているのですが、まだまだ整えっていない部分が多く、その中でも主体的に動いてくれたメンバーには本当に感謝しています。
自分がハブとして立ち(全PRをレビューしていました)、全てをコントロールしていた業務委託中心チーム時代から比べると
自分の手から離れて、自分の認知も想像も超えて様々なものが生み出されていくようになっていくのは、本当に痺れるものがあります。
CTOやってみて何か変わった?
今年始めはCEOと私の2人だったのですが、営業、コーポレート、プロダクトなど各領域を管掌する役員が続々と入社してくれました。
そして、「CTOのチームメイトはエンジニアチームではなく、他領域のCxO,VP」という言葉を先輩CTOから聞き、これが変化の大きなきっかけだったなと思います
会社、事業に責任を持つ立場でいつつも、現場でエンジニアしていた時の経験に引っ張られ、チーム状況、目の前のプロジェクトをランディングさせることを重視しすぎていたな、今振り返ると近視眼的な考え方だったなと反省しています
あくまで会社をどうしていくかという高い視座に立って、全体像を広く深く理解した上で、自分とは異なるスペシャリストと議論しながら、自信の専門性である技術を活かしてバリューを出していくことが重要なんだなと、しみじみ感じました。
議論していくために技術的な知識はもちろん、他領域の実態把握、知識も必要なのでかなり難易度は高く、スタンス、考え方において大きなアンラーニングが求められました。
まだまだ出来ていないことも多いですが、スタートアップとしての急成長に振り落とされないように自分自身も成長していくとはこういうことなのかと、少しだけ理解できた気がします。
あとはCTOのコミュニティなど、社外の方との関わりも大きかったと思います。 社内だけに閉じていると、どうしても目の前の問題解決、日々生きることに必死になりがちなのですが
すでに十分成功しているように見えても、そこからさらに時価総額1000億、1兆を目指していきたい、Big Pictureを描いてハングリーにチャレンジしていきたいという話を聞いて、大きな刺激を受け、自分の視座も大きく上がったなと感じています。
来年の抱負、技術的な大きなチャレンジやりたい
技術的な何か大きなチャレンジを始めていきたいと思っています。何をするかはまだ全く決まっていないです。
なるべく小さな失敗と学びを繰り返しながら、大きなビジネス価値を生むポテンシャルのある1点を狙い打ちたいと思っています
振り返ると創業からこれまでは技術的、UX面で難易度が高いけれど120点を取れる可能性がある選択肢よりも、 手堅くコスパの良い80点を取れる選択肢を多くの場面で選択してきました。
これは20代にオーバーエンジニアリング的な失敗をしたり、持続困難になるのが目に見えているような進め方をして(または前任者から引き継いでw)、色々な失敗を経験したというのもあり、それを繰り返したくないという思いがありました。極力作り込まずに価値を届けるにはどうするかを重視してきました。
結果としてプロダクトとしては会社の規模に対して相当シンプルな状態を保てているという自信があります。
ただこれからは難易度が高くてリスキー、そもそも前例がなくできるかわからないというものも、数年先の未来を見据えて大胆な挑戦を行っていきたいと思っています。比較的簡単な課題をシンプルに解くだけではなく、複雑で難しい課題を腰を据えてテクノロジーで解決していくということにBetしていきたいと思っています。
逆説的ではあるのですが、より困難なチャレンジをしている方が事業、組織面でも逆に強みになってくるんだなと強く感じています。そして何より自分たちも楽しいですよね。
いきなり行うのは難しいと思うのですが、今年、組織作りをしつつ事業戦略と技術戦略をアラインし、会社として安定的なアウトプットを継続的に出せるということに注力した結果、上記を可能にするビジネス、エンジニアリングの土台が出来上がってきたと思っています。
おわりに
定番になりますがエンペイは積極採用中です! SaaS * Fintechという非常にアツい領域で、上述のような大きなチャレンジができるのはもちろん、 マーケットについても興味深いポイントがあります。
我々はSMB中心のマーケットでいわゆるSales-Led Growth型のゲームをしており、
- Fintechの宿命として、審査、送金など社内の業務プロセスが非常に複雑
- SMB中心のマーケットなので認知〜プロダクト活用までのプロセスを型化する効果が非常に大きい
という特徴があります。
最高のプロダクトをユーザーに届けるために開発し続けるのはもちろんなのですが、プロダクトを届ける、活用してもらうというところもテクノロジーを活用して、リードしていきたいと思っています。オペレーションエクセレンスを実現することは会社として大きな優位性、独自性に繋がると感じています。
プロダクトだけではなく、より広く、抽象度も高い課題をエンジニアリングで解決していきたいという方には非常にエキサイティングな環境だと思います。
少しでも興味持っていただけた方は、ぜひぜひカジュアルにお話しましょう〜